「私だけが親の介護をしていた」「他の兄弟は何もしてくれなかったのに、相続では同じ取り分?」――介護を担った人が抱きやすい不満。実は法律にはこの不公平を解消する仕組みがあります。本記事では介護と相続の関係をわかりやすく解説します。
介護した相続人は「寄与分」で多めに相続できる
民法904条の2に定められた「寄与分」は、被相続人の財産維持・増加に特別な貢献をした相続人が、法定相続分に加えて多めに相続できる制度です。
寄与分が認められるケース
- 長年にわたって親を介護した
- 親の事業を無報酬で手伝った
- 親の医療費・生活費を負担した
- 親の財産管理に貢献した
「特別の貢献」の基準
通常の親子関係を超える「特別な貢献」が必要。たとえば「週1回の通院送迎」程度では認められず、「同居して数年間つきっきりで介護」レベルが目安。
寄与分の計算方法
介護の場合、以下の計算式が一般的:
寄与分 = 介護報酬の単価 × 介護日数 × 裁量割合(0.5〜0.8)
たとえばヘルパーの介護報酬単価が1日5,000円、介護日数1,000日(約3年)、裁量割合0.7なら:
5,000円 × 1,000日 × 0.7 = 350万円 が寄与分の目安。
「特別寄与料」(2019年新設)
従来の寄与分は相続人のみが対象でしたが、2019年の改正で「特別寄与料」が新設され、相続人以外の親族(息子の嫁・甥姪等)も金銭請求できるようになりました。
請求手順
- 相続人と話し合いで金額を決める
- 合意できなければ家庭裁判所に調停申立て
- 相続開始&相続人を知ってから6か月以内、または相続開始から1年以内が請求期限
介護貢献を主張するための証拠
口頭の主張だけでは認められません。以下の証拠を日常的に残しましょう:
- 介護日誌(日付・時間・内容を記録)
- 領収書(介護用品・医療費・通院送迎のガソリン代等)
- 介護保険の認定書類(要介護度の記録)
- 送金記録(生活費を負担していた場合)
- 医師の診断書(介護必要度の証明)
- 写真・動画(介護の様子)
遺言書で介護貢献を反映させる
後の争いを避ける最強の方法は親自身が遺言書を作ること。「○○には介護してくれたお礼として遺産の○%を渡す」「相続分とは別に□□万円を遺贈する」といった付言を残すと、揉めにくくなります。
まずは相続税の概算を把握
「いくらの相続でいくら寄与分が認められそうか」を判断するには、まず相続財産全体の概算を出すのがスタート。
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介護費用を「見える化」して相続準備に
寄与分の主張には介護にかかった費用の記録が重要です。在宅介護・施設介護それぞれの月額/年額/累計を要介護度・地域別に試算できます。今後の介護費用の目安にも、過去の貢献を裏付ける資料作成にもお役立てください。
▶ 介護費用シミュレーターを使う寄与分・特別寄与料は専門家相談が安心
介護貢献を金銭評価するのは難易度が高く、家族間の感情も絡みます。第三者の弁護士・税理士に間に入ってもらうと、感情的にならず客観的に交渉できます。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 親の年金で生活費を負担してもらっていた場合、介護した側に寄与分はある?
難しい判断です。「親の年金 < 介護にかかる労力・コスト」が立証できれば寄与分が認められる可能性。介護日誌や領収書での客観的な記録が重要。
Q2. 寄与分の上限はある?
明確な上限はありませんが、寄与分は「相続財産の総額」を超えることはできません。一般的には総額の10〜30%程度が認められるケースが多い。
Q3. 介護していたら相続税は安くなる?
寄与分は相続人内での財産配分の調整なので、相続税の総額自体は変わりません。ただし配偶者軽減や小規模宅地等の特例の適用次第で、介護貢献者にメリットがあるケースもあります。
本記事は2026年4月時点の制度に基づきます。具体的なケースは弁護士・税理士にご相談ください。


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